水平線・トレンドラインを引いてみよう

水平線の引き方

水平線はただ横の線という意味ですが、どこに引くのかがポイントになります。意味のないところに引いても仕方ないですよね。

基本的に、水平線は過去の意識された高値安値に引きます。主に長期の時間軸においてキーとなる高値安値です。「どこが重要な高値安値なのか」と言うと、ダウ理論やエリオット波動原理として重要なポイントなど。または現在の価格が「より大きな時間軸の高値安値」に挟まれているような場合には大天井と大底にも引いておきます。

大きな時間軸で引いておくパターン

ポンドドル日足2021年8月27日
日足チャート

まずは大きな時間軸から引き始めて、小さくして行きましょう。

現在の相場はこの日足の高値安値の間にいます。まずはこれらの値位置を越えるとしたら大きなトレンドの転換点になるという事を理解する必要があり、そのために引いたラインです。日足レベルでどちらかに値動きを引っ張ろうという大仕事をするためには、大変な労力と資金が必要ですね。という事はなかなかこの2つの値位置は抜けません。

大きな高値安値の間をウロウロするのが、毎日の値動きです。

それであれば、安値の近くは安値圏、高値の近くは高値圏であり、安値圏では買われ、高値圏では売られます。

→よって、安値に近くなったら買って、高値に近くなったら売れば良い事になります。

この時、本来はフィボナッチリトレースメントを引いてポイントになる値位置で買ったり売ったりします。その話はまだ先ですので、とりあえず、水平線をどこに引くのかを考えてみましょう。

エリオット波動原理で考えるパターン

ポンドドル4時間足
4時間足チャート

4時間足で見ると、日足で水平線を引いた高値と安値が見えました。今はその間をウロウロしています。が、その小動きにもストーリーがあります。

天井からエリオット波動原理で言う「1波」「2波」「3波」「4波」「5波」が計測出来ました。2波と4波は戻る値動きです。この1波の安値が意識され、その値位置が戻り売りポイントになっています。

原則的には1波の安値(上昇なら高値)には付けないはずなので、3波の安値までが1波なのかも知れません。

とにかく、細かな値動きではなく、このZIGZAGというインジケーターで表したくらいの大きな値動きの塊を意識すると方向性が見えやすくなります。

この場合は、1波の安値に引いておく事で、戻り売りが出来ました。この安値が意識されていたからです。

大きな時間軸で水平線を引いておく パート2

ポンドドル週足
週足チャート

週足で見ると、4時間足の値動きが如何に小さかったかが分かります。日足が青色の線、4時間足が緑色の線、週足が黒色の線で引いてあります。

週足の大底と大天井はここにあります。水平線を引いた安値(大底の前の安値に引いた)がその後意識され、上昇に転じた時のポイントになっている事が確認出来ます。

大天井にも水平線を引いておきました。その前の高値がありますね。つまり、切り下げている相場なので、水平線を引いた大天井を切り下げてしまうと、トレンドは下という事になります。

トレンドが下になるか上になるかは、この「大天井を切り上げるかどうか」に掛かっているのです。

そのため、現在高値圏でウロウロしており、高値を越えられるかな?という駆け引きを繰り広げているというわけです。

中ほどのアップダウンはエリオット波動原理などではどういう事になるのか、ぐちゃぐちゃで私には分かりませんが一番重要な点は「大天井の高値の前の高値はより高値であり、大底の前の安値はより高い値段の安値だった」という点です。次に安値を切り下げると、「下落トレンドが継続する」という意味になりますが、それならば今回のセッションで大天井を切り上げるのは少し変です。逆に大天井を切り上げてしまえば、次の安値は大底を割れないで止まる可能性が高いと言えます。

そう考えると、今の値動きが上昇に転じ、大天井を越える事がこの市場において重要な役割を果たす事がお分かり頂けると思います。本当に意味のある高値安値というのは常に、日足以上の大きな値動きです。最初にこれらの値位置を掴み、短期売買の取引に活かすのが常套手段です。

ダウ理論と水平線を合わせるパターン

4時間足で確認
4時間足で確認

ダウ理論とエリオット波動原理については次の項目で書きますが、ある程度もう既にご理解頂いているという前提で、一つの売買ポイントをご紹介します。

これはよく「ネックライン」という風に呼ばれたりもする売買ポイントです。

下落して来た時に、底になる前の安値高値に水平線を引いてしまいます。そして、そのエリアを越えたら買う。

天井圏では、天井になった前の高値安値に水平線を引きます。そしてそのエリアの下抜けを売る。この下抜けの読みを前もって出来るのであれば、エリアの高値を下回った段階でエントリーしても良いです。

1時間足で確認
1時間足で確認

直近の値動きを4時間足→1時間足にするとこうなります。同じように、天井の前の高値安値に水平線を引き、エリアの下抜けかエリアの上辺で売っておきます。

底も同じ。ただ、真ん中の底はエリアを上抜けたのに再度下抜けて下落しました。どこが底なのかが分かっていなければ、当然こうなりますので妄信はされませんよう。エリアを下抜けた場合は損切りして下さい。

意識される高値安値で利食い

4時間足画像ポンドドル
4時間足 意識される安値

先ほどの4時間足チャートではこれらのポイントです。下落が始まって、どこまで行くのか?を考える時に、
前の安値付近までは下落しやすい」という考え方です。

チャート左側の上昇中に3つの安値があり、その安値をブレイクすれば次の安値へ。という具合です。最終的には底を割れれば下落トレンドとなりますので一番意識されます。ちなみにいつまでも底値を割れなければどうなるかというと、高値を越えてアップトレンドになります。

意識されている前の安値を割れればすんなり次の安値まで行きやすい、というのがこの根底にある思想です。

しかしながら、この安値は中途半端な値位置にあり、時間足が大きければ別ですが、どれほど意識されているか疑問が残ります。つまり、その安値を割れたとしても次の安値まで行くという保証は何もありません。そのため、私はこの方法を推奨していません。この場合本当に意識すべきは、天底とエリオット波動原理とダウ理論による高値安値の切り下げ、そしてフィボナッチの目標値と戻り値幅です。

意味のある安値であれば上のチャートの底のように、その安値を割れれば下落トレンド、そして高値を越えれば上昇トレンドとダウ理論としてはなりますので一番意識もされますし、その手前までは下落しても何ら問題がないので気兼ねなく下落出来ます。だからこのチャートもそうなっていますね。

その話はいずれ、他の項目で詳しくご説明します。細かなアップダウンより大きな起伏の方が重要だという事だけはこの場で覚えておいて下さい。

まとめ

水平線を引く値位置は、ダウ理論やエリオット波動原理でポイントになる値位置。あまり意味のない高値安値に引いても、売買ポイントにするほどの意味合いも(文字通り)ありません。

意識される高値安値とは、「その高値安値をブレイクするとその後の流れが変わってしまう」もの。相場構成の意味合いを最初に考えておきましょう。トレンドが転換してしまうような大天井や大底を越えるためには時間が掛かります。越えられなければ戻ってしまい、高値と安値の間で持ち合いになります。

よって、週足と日足で大きな意味を持つ高値安値や戻り売り・押し目買いポイントになりそうな高値安値に水平線を引いておくと分かり易くなります。

この他に、「意識される前の高値安値」に引く方法があります。「他のトレーダーが意識するから」という面において、利食いポイントやポジションの保持に利用する事が可能です。

補足 水平線はそもそも必要?

このサイトのマニュアルではフィボナッチを教えています。無料で深い内容は教えられないために、水平線とかトレンドラインなどのシンプルな話をしていますが、フィボナッチが引けるようになったら水平線は必要ないと考えています。横の線ばかりで邪魔ですしね(笑)。

水平線とフィボナッチの比較チャート
水平線とフィボナッチの比較チャート

赤色が水平線、青色・緑色・紫色がフィボナッチです。これは1時間足の日経平均株価です。

水平線を4時間足で引いたチャート
水平線を4時間足で引いたチャート

4時間足です。沢山、引けるだけ水平線を引いてみたチャートです。

水平線を4時間足で引いたチャート2
水平線を4時間足で引いたチャート2

シンプルな4本の水平線に絞りました。

フィボナッチを引いたチャート
フィボナッチを引いたチャート

フィボナッチだけのチャートです。

どうでしたか。この4時間足チャートでは分かりやすく、ほぼ全ての高値安値が予め引いておいたフィボナッチでの反応です。

最初の1時間足でもそうですが、水平線は過去の意識されていそうな高値安値(で今も機能している事が多いもの)を実は後出しじゃんけんで(笑)、引きました。しかし、フィボナッチはかなり初期の段階で引いたものです。そして、引き方は毎回異なるわけではなく、いつでも同じです。

ではお聞きします。

値動きの反転は、水平線で起こっているのか?フィボナッチで起こっているのか?

どちらだと思われますか。

答えは書きませんが、水平線には一つ重大な問題がありますので、その点のみ気を付けて下さい。

水平線の注意点

水平線を引いている値位置は単に、過去に高値安値になったものである事がほとんどです。※直近の高値安値に引かない限り。または長期足の高値安値でない場合。

過去であればあるほど、その値位置が今も機能する可能性は低く、その値位置で反応すると考えて資金を投じる事はただのギャンブルになってしまいます。また、沢山引くと、機能しない値位置にも引いてしまいがちです。

誰もが意識するであろう高値安値に引いて下さい。

それは、4時間足などであれば直近の高値安値ですし、日足や週足レベルで現れた高値安値です。そうでなければ引く意味は無いと考えます。

フィボナッチを引けるトレーダーの場合は、水平線は引く必要はありません。フィボナッチで価格が反応して出来た高値安値に、水平線を引くトレーダーが引いているだけなので、そもそもの反転理由がフィボナッチだからです。

水平線の注意点2

もう一つ、重大な欠点が実は、水平線にはある事に気が付きました。

次のチャートに水平線を引いてみて下さい。

ナスダック100 月足
水平線を引いてみて下さい。

もしも引けないのだとしたら、この相場において
一体何の役に立つのでしょうか。

同じ横の線でも、フィボナッチなら引けます。

フィボナッチなら引ける
フィボナッチなら引ける

どう引いたかはここでは教えませんが、ずっと教えてきた手法です。

ほとんど全ての押し目はフィボナッチでした。そして、抵抗になった値位置もフィボナッチです。

このように、フィボナッチというものはこの先の値動きにも「目標値」という形で引けるのです。

しかし、水平線は過去の目立った高値安値に引いて、それが意識されるというのだけれども
過去の高値を越えていて何も目立った高値安値が無ければ?(笑)

世界でも随一の高騰を見せる米国株価指数で使えないような手法が役に立つのでしょうか。

実は不完全な手法なのです。

オススメとしては、横のラインなら「フィボナッチを引く」という事です。


トレンドラインの引き方

トレンドラインは斜めの線です。安値と安値を結んだラインを次の安値が出来る時の支えとして考えるというような事です。

トレンドラインを支えに上昇

トレンドラインを支えに上昇するのか?

する事もありますし、しない事もありますので、あまりこの方法を信頼して押し目買いをするのはやめた方が良いとは思います。とは言え意識されることも確か。先ほどの「意識される高値安値に引いた水平線」と似ています。

またトレンドラインを引いていると、あちこちに引く事が出来るのでラインが沢山になってしまう事もあります。

しかし、一番シンプルなこのトレンドラインというもの。

使いようによっては「結局トレンドラインで買っておけば良かった」となるような転換点に引ける事もあります。

例えばこのように、天底と2番目の高値安値は意識されます。

トレンドラインの使い方
意識されるポイントが分かる

大枠として天底だけではなく、2番目にもに水平線を引いておくと同時に、トレンドラインを引きます

ダウ理論としてアップトレンド・ダウントレンドの決定を意味するのが天底なので近づいてくると意識されます。その時に引いたトレンドラインの行き着く先が、次に意識されるポイントになったりもします。

上のチャートをご覧下さい。

また持ち合いを簡単にライントレードで判別するために、持ち合い時の天底から目立った高値安値にラインを引き、トレンドラインを越えない間は持ち合い、越えたら持ち合いブレイクとみなすのがライントレードの基本です。

移動平均線とはまた違う持ち合いの判別方法ですが、この形で綺麗に持ち合うと「三角持ち合い」になります。

持ち合いブレイク後は再度同じラインへ押し目を付けてから上昇する事もあります。それが上のチャートにも載っていますので次の3つをご確認下さい。

  • トレンドラインで抑えられた高値
  • 持ち合いブレイク後のラインでの反発
  • 底値圏の安値を結んだトレンドラインで反発

トレンドラインの注意点

トレンドラインはピンポイントで売買ポイントを作り出せるため、シンプルかつ効率的な売買ツールだと言えます。しかし、トレンドラインは初心者から上級者まで、ほぼ全員が引けます。そのため、よくフェイクがあります。

  • トレンドラインで反落(反発)すると見せかけてブレイクする
  • 三角持ち合いを抜けて、反対にもう一度抜ける

これらのダマシ(フェイクと同義)が発生する事を認識した上で、的確に損切りし、新たに正しい方向へ入り直すのであれば、シンプルで売買数が少ないトレンドラインでの売買は利益を生みやすいでしょう。イメージとしては、正しく毎回同じように引けていれば50%くらいは押し目やラインブレイクを捉えられるような感じです。資金管理さえ上手くやれば、これでも十分、リスクリターンと勝率のバランスが取れます。※50%・・・半分はブレイクし、半分は反転する。意識はされるが、反転するとは限らない。

水平線についてが長くなってしまったので、トレンドラインはボリュームが少なくなってしまいました。今回はとりあえず、上の3つのトレンドラインの売買ポイントと引き方を覚えておきましょう!

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